第3話

ひばりママが舞台を観ていたルームとして、先日の中日新聞記事「川の流れのように」にも監事室は取り上げられておりましたが、監事室は本来、松竹系劇場において設置されており、今でも大切な役割が守られております。

その目的は、毎日の舞台進行を客席側から監視し舞台装置・照明・音響などを見守ります。

毎日の芝居が時間どうり上演されているか? 芝居が役者の判断で、演出家の意図を無視し進行していないか? をも見届ける重要な仕事を担っています。

突然の舞台トラブルに対しても舞台進行側の報告を受け、お客様への場内アナウンスなどの対応を指示し、最善の業務処理を求められている大事な職場。

そして、日常的な「芝居を見守る」という業務から「芝居を知る」という感性を身につけてゆく事こそ監事室の最も大切な役目と思います。

芝居の世界を知っていてこそ、プロデューサーへの道がひらかれる・・・

監事室制度は歌舞伎に限らず全ての芝居づくりに、基礎教育の場を提供しておりました。

第2話

今では、名古屋の秋を彩る風物詩としてマスコミに取材される御園座の顔見世興行ですが、松竹系の劇場以外で顔見世興行を定期に公演することは異例のことでした。

長年の劇場の夢が実現できたのは、先々代の御園座社長 長谷川栄一の興行師として芝居への並々ならぬ情熱、歌舞伎役者との公私にわたる付合いの広さが、昭和40年10月創立七十周年記念 名古屋初顔見世興行の実現となりました。

顔ぶれは、松竹の寿海・歌右衛門・鴈治郎・扇雀、東宝の幸四郎・芝鶴・中車・又五郎と当時実現できない松竹・東宝の歌舞伎役者の共演となり、世間を驚愕させた。

そして今年の秋には、43回吉例顔見世が開幕します。

栄一会長の興行師魂が、その後の御園座へ大きく寄与することとなりました・・・

第1話

6月と言えば「美空ひばり」さんの命日が24日。今年もテレビに懐かしい映像が放送されることでしょう。

ひばりさんが、初めて御園座にて一ヵ月の芝居とショーの公演をしたのは、昭和40年4月 世紀の大スターの舞台を待ち望んだファンに劇場は連日大入り満員となりました。

演目 昼「お夏清十郎」「彩競四季花籠」 夜「女の花道」「艶姿雪月花」共演 林 与一、石井 寛、清川虹子、黒川弥太郎、京塚昌子、林又一郎他

ひばりさんのお母さん・・・通称「ママ」との出会い。

ママは、公演初日から千秋楽まで一階客席後方にある監事室から舞台を観ます。初日から数日は、演出・照明・音楽のスタッフヘ指示を出していきますが、それ以降は当時劇場の監事室を担当していた私達に舞台の手直しを言われます。

今日、お越しになったお客様に最高の舞台を、明日からは、もっと良い舞台を・・・そんな思いが託された「ママのダメ出し」でした。

公演一ヵ月、昼の開演から夜の終演まで一緒に過ごさせて頂き、ひばりさんを大スターに仕上げたママのプロデューサーとしての姿勢は、その後、御園座の演劇プロデューサーとして芝居創りに携わった私に大きな影響を与えてくれました・・・

今日は、ここまで

↑このページのトップヘ