第2話

今では、名古屋の秋を彩る風物詩としてマスコミに取材される御園座の顔見世興行ですが、松竹系の劇場以外で顔見世興行を定期に公演することは異例のことでした。

長年の劇場の夢が実現できたのは、先々代の御園座社長 長谷川栄一の興行師として芝居への並々ならぬ情熱、歌舞伎役者との公私にわたる付合いの広さが、昭和40年10月創立七十周年記念 名古屋初顔見世興行の実現となりました。

顔ぶれは、松竹の寿海・歌右衛門・鴈治郎・扇雀、東宝の幸四郎・芝鶴・中車・又五郎と当時実現できない松竹・東宝の歌舞伎役者の共演となり、世間を驚愕させた。

そして今年の秋には、43回吉例顔見世が開幕します。

栄一会長の興行師魂が、その後の御園座へ大きく寄与することとなりました・・・