第２５８話

今日は私の父親の命日。御園座に勤めている時は、命日の墓参りもその日には出掛けられなかったが、退職した今年からは命日に線香を手向けたいと八事裏山の墓地へ・・・・

５８才で亡くなった父が、生きていれば今年１００才を迎える。大戦をくぐり抜け、伊勢湾台風の天災を受け、働きに働いた人生でした。

父の生きられなかった分を、最後のプレゼントとして母に贈ったのか解かりませんが、私の母親は今年９６才を迎えます。

二度の脳梗塞を乗り越え、病院からリハビリ施設へ。そして今は老人ホームのお世話になっている。

もう車椅子の生活ですが、目も良く見え　耳も良く聞こえます。

毎週土曜日は母に会いに行っており、お墓からホームへ向いました。

今日は父の命日、母に「お父さん亡くなったのは、何日だった」と聞くと大きな声で「大正２年３月２６日」と答えます。

何度聞いても母の誕生日です。

病院でも、リハビリ施設でも、ホームでも何度も何度も介護士に聞かれていたのでしょう。

自信を持って答えている母は、大変体調も良さそうです。

記憶は徐々に薄らいできてますが、御園座で４０年以上も観た芝居は今や母の宝物になっている。

少しは親孝行できたかな？