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第284話


昨日、作詞家の石本美由起さんが亡くなられた、氏の作品には「憧れのハワイ航路」/岡晴夫・「港町十三番地」「悲しい酒」/美空ひばり・「矢切の渡し」/細川たかし・「長良川艶歌」/五木ひろし・と昭和の代表作がずらりと並んでいる。

テレビからは、美空ひばりさんが熱唱する「悲しい酒」の映像が何度も各局から放映されています。

ひばりさんにとっては「悲しい酒」は特別な曲、御園座で昭和40~52年の毎年4月におこなわれた「美空ひばり特別公演」のショー構成においても要となる大切な曲。

「悲しい酒」では、真っ暗な舞台に ひばりさん一人を照明が浮かび上がらせる演出が求められ、客の出入りによる光漏れを防ぐことになった。

曲のイントロから劇場ロビーの扉は劇場係員によって押さえられます。しかし、御園座には一階から三階客席まで26ヵ所の出入口がある。

全係員に「悲しい酒」の始まりと終わりを知らせるため、ロビー各所にブザーと赤ランプが設置され、社員総出で万全を期しました。

ブザーを操作するのは、ひばりママと一緒に毎日舞台を見ている監事室勤務の私です。

ロビーに鳴るブザーの音と共に、舞台・客席は真っ暗に・・・・

固唾を呑んで見守る中、ひばりさんが浮かびます。

お客さんは息をしていないのでは・・・とも思える静寂の中、ひばりさんの歌声とギターの音色が客席の一人ひとりの心に沁みこんでいく・・・・

劇場で聞く生の「悲しい酒」は、お客様も一緒になって情感を創り上げている。

映像では、この感覚が得られません。

写真は、念願のひばりさんとのツーショット。
撮影場所:京都・美空ひばり座 (合成写真)

明日5月29日は、ひばりさんの誕生日。存命ならば72才です。