中日劇場 閉館 その後
第579話
中日新聞社と中部日本ビルディングは、2018年3月末に中日劇場を閉館すると発表しました。
1966年・昭和41年4月に開場し、阪神大震災後にはビル全体の耐震補強工事を済ませていたが、より大きな巨大地震への対応を検討。また施設も老朽化してきたことも合わせ、「中日ビル」全体の解体・再建を決意。
新ビルには中日劇場の再開場は計画せず、代替えにコンサートやシンポジウムができる施設を設けるようです。しかし、規模が小さくなってもコンサートや音楽ライブを受け入れていく施設ならば、50年もの歴史を刻んだ「中日劇場」の名前を受け継いでも良いと思います。
御園座が2018年・平成30年4月にタワーマンションビルに新劇場として再開場します。 そのひと月前に中日劇場が閉館し、4月からそれまで御園座・中日劇場で上演してきた公演が、上演スケジュールに並ぶのでしょうか? それでは新劇場のワクワク感が半減してしまいます。
新しい御園座には、松竹・東宝からの作品提供の他、劇場プロデューサーが企画して役者を選び、作品選定・スタッフ選定・俳優キャステングまで・・・・今一度目指してもらいたい。
中日新聞社の水野和伸専務が「オープン当初から赤字で、50年間で黒字になったのはほんの1~2年」「断腸の思いで中日劇場閉館を決断した」と発表された。
しかし、劇場の経営は観覧券の売上で収益が上がる時代は、50年前にはすでに終わっていました。 旧・御園座を焼失から再建した時、劇場施設だけでは長期安定経営ができないと、今までの劇場内テナントだけでなく名店街テナント・貸事務所・ボウリング場の付帯事業を立ち上げています。その後も観光事業・介護事業と常に本業の劇場を支える事業を組み込んできました。
中日新聞社が直営する中日劇場の損益計算には格安な広告宣伝費、劇場賃貸料、グループ企業の観劇会協力など、など、など・・・・・損益計上を好転させる手立ては有ると思えます。 しかし、再来年春に再建開場する新・御園座には付帯事業も無ければ、中日劇場のような親会社からの特典も受けられないのが現状です。
公演内容を魅力ある作品に仕上げる努力が必要と思えます。
中日劇場 2018年3月末で営業を終了
第578話
中日新聞社が直営する中日劇場は、2018年4月に再建開場する御園座の運営支援を財界から託されておりました。 御園座開場後の中日劇場は営業形態を貸劇場として、御園座との区分けがなされると思っていましたが・・・・突然の劇場閉館のお知らせです。
春秋 真田物語 観劇
第577話
昨日 観劇した劇団若獅子の「春秋 真田物語」二幕十場は、ゲストに狂言師の 和泉元彌 さん、元宝塚の えまおゆう さんらを迎え新国劇の芝居に新鮮な色合いを付けていました。 劇団代表として制作プロデュースから脚本手直し、主演・演出を手掛けた笠原章さんの奮闘と工夫が、随所に見られます。 真田幸村を家長とする家族、そして生死を共にした家来達へ、幸村の苦悩と愛情を解かり易く描いていく。 一方 徳川・豊臣の対決を大坂城での軍議に淀の方・秀頼・千姫を絡ませ、移り行く戦況を説明し観客を引き込んでいきます。 二幕物の芝居を見事に組上げていました。
今では大劇場の公演ですら芝居は一幕物が多く、歌謡ショーを付けても公演時間が短く収まるようにしている。 昔の「コマ劇場スタイル」が主流になってしまいました。
春秋 真田物語のカーテンコールでは役者の熱演に大きな拍手が贈られた。 主演の笠原章さんから来年は新国劇百年・劇団若獅子結成30周年の記念公演を行うと案内もありました。 よくぞここまで頑張られた・・・・新国劇・新派の名作は、劇界の財産です。 一幕物に端折らないで守り抜いて下さい。
それにしても客席に劇場関係者の姿が見られなかったのが寂しかったです。
御園座120年の歴史に支えられ
第576話
御園座は、今から120年前の明治29年(1896年)6月19日に、劇場の運営会社「名古屋劇場株式会社」として登記されました。 その後、昭和22年社名は劇場名と同一が良いとし「御園座株式会社」と変更します。 御園座は昭和20年の戦火による劇場焼失、昭和36年の火災による焼失など大きな劇場存続の危機もありましたが、演劇愛好家の熱い思いと財界の支援によって劇場再建を果たしてきました。
「演劇の殿堂」として東京・大阪の大劇場にも誇れる御園座でしたが、郵政民営化により全国劇場を支えていた観劇団体「簡易保険観劇会」が、新規募集から観劇特典を企画できなくなり、団体依存率の高い御園座はじわじわと苦境に立たされて行きました。 追打ちをかけるようにリーマンショツクからの不況が、個人客への開拓路線を選択した御園座を追い詰め・・・・平成25年3月に劇場を閉鎖、劇場敷地を売却しての御園座再建策に至ったのです。
来年12月にはタワーマンションと合併した劇場は完成し、平成30年4月の開場を予定している。
今回の劇場再建は、以前のような突発的な災禍による劇場焼失ではなく、劇場運営の行き詰まりと建物耐震化ができないビル老朽化が、大きな問題となりました。
劇場運営は中日劇場を持つ中日新聞社が支援し、最大課題の増資による建設資金は三菱東京UFJ銀行が財界をまとめられたようです。
名古屋においては名鉄ホールが撤退し、中日劇場も貸劇場での運営を見据えており、劇場経営の先行きが不安視される中での再建です。
「新 御園座」に期待する演劇愛好家に、どんな魅力を創り上げるか? 来演した役者にどれだけ居心地の良い場を提供するか? 答えの全てが、御園座の120年の歴史に織り込まれていると思います。
写真は、御園座客席後方の監事室(管理室) と 同室からの舞台客席の眺めです。
何十年もこの部屋から芝居を見続けた思い出の場所です。
御園座を離れて 神社当番
第575話
御園座の演劇自主制作は、昭和の終わりから平成に入って本格的に始動。当時年間の自主制作が6ヶ月を超えてきており、プロデューサーの仕事がら東京・大阪への出張も多く深夜に名古屋駅に帰着。 そこからタクシーで30分も要する自宅に帰る不便を感じ、平成8年に名古屋駅から名鉄電車で一駅の西区八坂町(今は名西)へ引っ越してきました。
あれから20年・・・・・御園座も8年前に退職し気楽に年金生活を続けていましたが、今年は町内氏神様・八坂神社の大当番が廻ってきました。 町内110軒程の氏子は殆どの家が何代も前からこの地に住み、子供の頃から神事に携わってきた人達です。
意気込みが違います。 特に5月の21日(土)・22日(日)に執り行われる八坂神社例大祭は、町内総出の一大イベント。
1週間前の今日は、朝から神社境内にクレーン車が入り、880個の献灯提灯を吊り下げる巨大な芯柱を立て、5段の竹竿張り(蜘蛛の巣)を組上げました。
神社入口に立てられた大幟 21日に飾られる提灯写真
御園座の稲荷社殿
第574話
久々に御園座に関係する話題が13日の中日新聞(朝刊)に取り上げられていました。
取り壊された旧御園座ビルの屋上に祀られていた御園稲荷の社殿が、保管していた朝日神社から東日本大震災・被災地の陸前高田・愛宕神社へ寄贈されるとの記事です。
御園稲荷の話は、以前このブログでも「劇場(御園座)の神様」として掲載しました。http://blogs.yahoo.co.jp/misonozaman/31326188.html 文末再掲載
平成11年4月に古い社殿から新築された稲荷社を、記事のように鮮やかな朱色に補修して贈られる。 被災地の方々の「心の支え」として祀っていただければ・・・・大変喜ばしいニュースです。
商売繁盛そして芸能上達を願う稲荷大神は、劇場にとって大切な神様ですが「新御園座」劇場では何処に社殿が築かれるのでしょうか? 積水ハウスの完成絵図には見あたりません。 伏見通り大階段の脇あたりに祀られれば、観劇客の待ち合わせ場所にもなり、商店街の皆さんからも商売繁盛と喜ばれると思います。
こちらも結果が楽しみです。
平成25年(2013)5月3日 ブログ「御園座 芝居の話」再掲載
御園座だより 公演記録
第573話
御園座再建工事もやっと地上部に工事用タワークレーンが上がってきました。「新御園座」劇場の柿葺落興行も二年後の4月には開幕の予定です。
平成25年3月末の閉館から五年ぶりに御園座が復活します。 二年後です。
それにしても五年間の月日は長い・・・・御園座を定年退職したOBも新劇場開場を心待ちにしていたが、最近では「もう、新しい御園座には行けないかも・・・・」と気弱な電話が掛かってきます。 「大丈夫、大丈夫ですよ」と励ましている私も今年71歳。 男子の平均健康寿命を迎えている。 御園座の黄金期を経験した仲間が少なくなっていく。 もっと問題なのは公演の看板スター、今や50代後半から60代、70代となってしまう。
新御園座にどのような公演が並ぶのか? 公演記録一覧表のマス目を、カレンダーのように一ヶ月づつ塗りつぶして待っています。
御園座だより
第572話
御園座の再建工事は遅々として地上の建物が見えてきません。 それでも先日ブログに載せた写真(元建物の地下二階部分まで掘り下げての基礎工事)からは、大型クレーンなどが地上に上がり基礎工事は着実に進められているようです。
あまり変化もなくブログも更新していませんでした。 最近は手軽に近況を載せられる facebook にお寺参りなどを書き込んでいます。
ところが私の交友関係は65歳以上の高齢者が大半、パソコンでyahoo検索とトランプゲームを楽しんでいるレベルです。 ある人には手ほどきしてブログを始めさせましたが、何度教えてもカメラから写真を取り込めません。 facebookに登録して見るなど絶対にしてくれない強情者ばかりです。
そんな彼らから「御園座芝居の話」はどうなったんだ! 「10月の顔見世もスルーしたでしょう」と有り難いような・・・鋭い指摘が・・・
公演の座頭は私の大好きな中村吉右衛門丈が勤められた顔見世興行。 しかし余りにも座組の看板が少なく顔見世気分が漂わない。 演目も「出演者が少なくても上演できる物を組まざるを得なかったのか?」と思えるほどです。 御園座は再建の5年間、顔見世を市民会館で上演することを選択したが、花道施設にこだわらず中日劇場での仮設花道での上演を行っていれば・・・・・などと考えてしまう。
そんな雑念に惑わされブログの更新も出来ませんでした。 まだまだ煩悩が沸々とわき上がる凡人です。
70歳を超え人生晩年。 少しでも穏やかに過ごしたいと神社仏閣めぐりをしているが、だんだんと訪問地が遠方になっている。 高齢者ドライバーには問題ありと思っているが、根が我儘なのか?人見知りなのか? バスツアーには参加できません。
今回も熊野三山(本宮大社・速玉大社・那智大社)参拝に行って来ました。
写真は那智妙法山・阿弥陀寺より勝浦方面の眺望です。
熊野は遠いです・・・・・
御園座の話題
第571話
御園座は2年半前に劇場ビルの老朽化によって閉鎖、その後ビル解体に着手し、今年春から40階建てタワーマンションに劇場が併設される複合ビルとして建築工事に入っています。 劇場部分の竣工は2年後の年末を予定、数ヶ月をかけて開場準備を進め平成30年春の杮葺落興行を目指している。
今はまだ高層マンションの基礎工事を行っており、劇場の鉄骨組立工事に入るのは相当先になりそうです。
既に積水ハウス・高層マンションの案内パンフレットは、一部の顧客に郵送されている。 嬉しいことにビル名称は、通称「御園座タワー」として使われているようです。
過去の私のブログに提案した「御園座演劇図書館」のビル内開設と、今回のビル名称「御園座タワー」の呼称が認められました。まさに新劇場・御園座に相応しい伏見のシンボルタワーが登場します。 正式名称は「グランドメゾン御園座タワー」です。
御園座は新劇場再建に要する期間中、歌舞伎公演などは社外施設を利用しているが、やはり借り物の劇場では、興行本来の魅力も半減してしまう。 1日も早く新劇場の竣工を御園座ファンは待ち望んでいます。
ご期待に応えて新 御園座の外観・場内イメージです。
資料 積水ハウス