第36話

杉 良太郎公演は、明治座・新歌舞伎座の上演記録からも解かるように、良い作品が出来れば何年か後に再演として取り上げていきます。

昭和58年から杉良太郎特別公演を実施した御園座の記録の中にも「拝領妻始末」「からっ風の子守唄」「忠治御用旅」などが記録されている。

三座のプロデューサーの中からも再演が続く杉公演に新作を取り入れたいとの意見が有り、明治座・新歌舞伎座・御園座が企画を同じにして新作を上演する「三座同一企画」を実施することに。

そして、最初の企画は村上元三先生の「ひとり狼」一幕を、杉さん用に二幕にする事から始まった。

初演は新歌舞伎座。

脚本補綴の仲川氏が原作の序幕前に一場を追加し、御園座公演中の杉さんへ提示した。

急遽、楽屋に呼ばれた私は原稿を渡され、終演後の台本手直し打合せに参加する事に。

三座の中でどの劇場が初演を受け持っても、各座プロデューサーが連絡を取り合い、問題解決していく「杉ホットライン」がこうして確立されて行きました。

メンバーは、明治座の土生プロデューサー、新歌舞伎座の松岡プロデューサーそして御園座からは私が加わった。

そして、「ひとり狼」の後、三座同時企画は「眠狂四郎」「中乗り新三」「さくら吹雪」と続きます。

杉公演に対する三座協力の体制は、他の公演に対しても情報交換、新企画の同時立ち上げなど思わぬ効果が発揮されていった・・・・・・