第42話

役者も歌手も生身の体、病気もすれば怪我もする。

今月、大阪の松竹座に出演していた市川海老蔵さんが、風呂場にて怪我をし無念の降板。

だが歌舞伎公演の凄さは一座の中から代役を即立て、公演を休演させることなく続ける体制である。

一座の中で何時、誰が倒れても、自分にどの役が廻ってくるのかを考え、常に準備をしておく事は、生半可な努力では出来ないことです。

歌舞伎には「三日御定法」として、たとえ一日でも代役をお願いしたら三日間は、その役を渡さなければ代役になった役者に失礼にあたるという定めもあります。

江戸時代から何百年と続いてきた歌舞伎ならではのこの制度は、役者に常に緊張感と向上心を持たせる一面と、興行的には公演中止のリスクを劇場に負担させない工夫がなされている制度といえる。

だが普通の公演において、特に歌手公演になれば座長が倒れれば即休演があたり前に・・・・・

御園座においても 三波春夫さんが千秋楽近くに体調を崩し、日延べ公演した事。 森繁久弥さんが腸閉塞をおこし、数日休演し小林桂樹さんが代役。 同じく腸閉塞で倒れたのが西郷輝彦さん、この時も数日休演し横内正さんが代役を見事に勤めました。

劇場にとって役者も歌手も生身の体、いつ体調を崩すか解からない事を常に心に留めておかなければ、歌舞伎以外の公演は劇場に大変大きな混乱を招く事になります。

そして最も大事なことは、公演を楽しみに劇場に足をはこんだお客様のことを、まず第一に対応しなければサービス業の基本は守れなくなってしまいます・・・・・・・

芝居に対する感性も、サービスに対する感性も歌舞伎役者の心得の様にいざと言う時に役立つ物にしておきたいものです。