第168話

夕方、杉良太郎特別公演の「芝居・総ざらい」も終り、杉さんに飛行機の出来を確認してもらうため関係者と共に舞台に移動。

杉さん、正面から見て「流石に、でかいなぁー」と一言。

やれやれ、何んとか無事にOKが出るかと思ったのは甘かったです。

楽屋へ戻るため飛行機の横を通った杉さん 「何じゃーこれは」「こんな寸足らずな飛行機あるかぁー」

やっぱり キタァーーー

プロデューサーとして此処は言わねばと「座長、道具転換の事もありますから、これが精一杯の長さです」

座長の反応を関係者一同、固唾を飲んで見守ります。

杉さん「舞台奥に置いとく時はこの寸法で、前に出てくる時に伸びれば良いだろう」

唖然とする一同に

「アコーディオンのように伸びれば良いんだよ」と楽屋へ帰られてしまった。

ショーの舞台稽古は明後日、それまでに伸びる飛行機を造らねばと装飾業者を非常招集、竹内先生を中心に緊急打合せに入りました。

とにかく主翼の後ろで胴体を切断し、尾翼との間に布製胴体を2m程継げ足すことに・・・・・・

しかし業者は「アコーディオンにするは良いですよ、でも伸びたらムカデのように地面に這ってしまう」と怪訝な顔つき。

時間ばかり経ってゆき、深夜の舞台に残っているのは竹内先生と私と業者だけ・・・・・いずれにしても解決策を見つけねば。

そこで私の底力「よしッ 背骨を入れよう!」と動き出した。

説明しているより現物を持ってきますと、劇場地下の電気室・資材置場から3m程の鉄パイプを2本、担いで舞台へ。

『太さの違うパイプを片方のパイプから伸縮棒が出てくるように仕込み、主翼側に内側パイプの頭をつなぎ、尾翼側天井に外側パイプを固定させれば、伸びた時に尾翼背骨からアコーディオン部分の背骨が出て来るでしょう』 『あとは飛行機胴体の布をベニヤで所どころハンガー状にすれば、ワイヤーが伸びて次々とハンガーが出て行く』どうですか・・・・・・

夜中の2時すぎ、良いも悪いも、あと一日の製作日しかありません。

竹内先生、もう倒れそうです。  私も業者も・・・・

つ づ く