第547話

「脚光の十年」は、1985年・昭和六十年に御園座が創立九十周年を迎え刊行(非売品)した記念誌です。 内容は御園座に出演された俳優諸氏(70名)の「思い出話」や、長谷川栄一会長・長谷川真弘社長らの座談会の様子も掲載され、過去10年間の公演内容の記録を記載した今までの劇場社史とは違っていました。

歌舞伎・新派・新国劇の劇団幹部俳優をはじめ、森繁久弥・三波春夫・美空ひばり・藤山寛美・萬屋錦之介・里見浩太朗・杉良太郎・・・・・・・と大スターの寄稿文が載っている。

まさに御園座の黄金期です。 創立九十周年を迎えた昭和六十年度の年間興行を参考に並べてみます。

1月 里見浩太朗特別公演  岩井友見 土田早苗             松竹関西 制作

2月 杉 良太郎特別公演  波乃久里子 葉山葉子   新歌舞伎座 制作

3月 「ちゃんばら行進曲」 山城新伍 林美智子    松竹芸能 制作

4月 山本富士子特別公演  江原真二郎        東宝  制作

5月 五木ひろし特別公演  朝丘雪路         御園座 自主制作

6月 松竹新喜劇      藤山寛美 島田正吾    松竹関西 制作

7月 美空ひばり特別公演  淡島千景         東宝  制作

8月 松竹現代劇      大竹しのぶ 江守徹    松竹芸能 制作

9月 孤愁の岸       森繁久弥 竹脇無我 林与一 東宝  制作

10月 吉例顔見世      市川團十郎襲名      松竹   制作

11月 東宝現代劇      山本陽子 主演      東宝  制作

12月 近松心中物語     平幹二朗 太地喜和子   東宝  制作

松竹・東宝・松竹芸能・新歌舞伎座から大型興行の提供を受けています。 
この年の5月に実施した五木ひろし公演から、長く中断していた御園座自主制作が再スタートし、翌年には里見浩太朗公演、そして次の年には杉良太郎公演と自主制作が本格的に実施されていきました。

写真は「脚光の十年」その後の御園座演劇制作を支えた御園座の社員です。

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