第１５６話

美空ひばりさんは、１９８９年(平成元年)６月２４日に５２歳の生涯を終えられた・・・・・・

御園座の舞台には、昭和４０年の初公演から昭和５２年まで毎年４月を定例月として１３年間連続してお越し頂きました。

その後、再び美空ひばりさんが御園座の舞台へ登場したのは、御園座が創立９０周年を迎えた昭和６０年６月でした。

８年ぶりの御園座公演、その間にひばりさんは最愛のママと二人の弟さんをなくされるという不幸に見舞われていた。

先々代の御園座社長(長谷川栄一)を名古屋のパパと慕っていたひばりさんが、９０周年のお祝いにご自分の悲しみを振り切って出演してくれました。

ママが居ない御園座公演、ひばりさんは御園座の楽屋屋上に造られた宿泊用のマンション(業界では通称ひばり御殿)は、ママとの想い出が多すぎ、広すぎるからとホテルに一ヶ月宿泊されることに・・・・

公演の名古屋受け入れは当然私が担当、ひばりさんのホテル滞在を少しでもリラックスして過ごして頂きたいと・・・・ホテル側に無理をお願いし、洋間のスィートルームの応接家具を全部持ち出し、代わりに和風の座敷机・座椅子・和箪笥などを真っ白なシャギー絨毯の上に並べました。

もちろん、見立ては私が家具屋へ足を運んで厳選した物ばかり、気に入って頂けるか心配でしたが・・・・・ひばりさんは大喜びして下さり、公演中にはホテルに忘れ物をすれば、付き人から部屋の鍵を私に渡されるほどの信用を・・・・・・・

私は、ひばりさんに御園座公演を今後も続けてもらいたいと、東宝プロデューサーと交渉を続けていましたが・・・・・・

ひばりさんが出された結論は、昭和６２年５月東京・明治座公演でした。

東京のパパ故・川口松太郎さんとの約束「もう一度、明治座へ」を果たしたいから・・・・・・

名古屋のパパと東京のパパへ、出来る内にご恩返しをして置きたいと願ったひばりさんの思い。

今思えば・・・・・腰の痛みを必死に耐えて、努めきった御園座復帰公演。すでに病魔がひばりさんを襲っていたのでしょう。

明治座公演は、稽古直前の４月にひばりさんが緊急入院。劇場は代替え公演をどうするか大変なことになつて行きました。

救いの手を差し伸べたのは杉良太郎さん、４月御園座公演の座組み・演目をそのまま明治座へ持ち込むことに・・・・・・・

この話は、わたしのブログ昨年６月２８日「杉公演自主制作そして明治座」に書いてあります。　ご覧下さい。

こんな経緯もあって、ひばりさんへの思いは人一倍強く、ひばりさん没後十年に企画された「美空ひばり物語」舞台公演は精一杯の後押しをさせて頂きました。

美空ひばりさんの命日に、想い出話を書いてみました。

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第１５４話

昭和３９年６月、美空ひばりさんが新宿コマ劇場の一ヶ月の舞台公演に出演されたことから、東西の商業演劇は主役を著名な俳優や、演歌歌手、人気アイドルを求めるスター公演に切り替え、確実な集客を求めていきました。

御園座に於いても翌年の昭和４０年４月に美空ひばり公演が企画され、１月の三波春夫公演と共に御園座の看板公演に・・・・・

新宿コマ劇場が、今年をもって劇場を閉鎖。「演歌の殿堂が無くなってしまう」と報道されていたが・・・・・・この演歌の殿堂の歴史を築いたのも美空ひばりさんからです。

ひばりさんがコマ劇場に出演された昭和３９年のコマ劇場年間スケジュールは
１月・宝塚歌劇、２月・コマ喜劇、３月・新国劇、４月・喜劇人まつり、５月・コマ・ミュージカル、６月・美空ひばり特別公演、７月・東宝ミュージカル、８月・コマ喜劇、９月・新国劇、１０月・喜劇特別公演、１１月、１２月・ブロードウェイ・ミュージカル

如何ですか、ひばりさんが劇場進出された時代は、榎本健一、柳家金語楼、森川　信、堺　駿二、由利　徹・・・・まさに喜劇全盛時代。

美空ひばり公演が大成功を収めると、それ以後は東京・大阪・名古屋の大劇場で座長公演を持つことが、大スターの条件とも言われる時代になって行きます。

スター公演を主流にした商業演劇は、次々と演歌スター、映画スター、テレビスターを登場させていったが・・・・・・

此処に来て商業演劇は、行き詰まりの閉塞感に包まれている。

そんな現状を打破するには、まず原点に返ってみようと美空ひばりさんに会って来ました。

懐かしかったです。

偉大なひばりさんの歴史が詰まった、京都　嵐山の「美空ひばり座」スターの原点を見つめ直せる内容です。

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第９５話

今朝テレビ番組「波乱万丈」に加藤和也氏が登場。

和也氏は、皆さん御存知のように美空ひばりさんが、弟さん哲也氏のお子さんを養子として育てられた御子息です。

番組は和也氏の生い立ちから、母親・加藤和枝(美空ひばり)との想い出を紹介。

愛情を目一杯受けられた幼少期、偉大な歌手が母親ゆえに親子の溝が深まった反抗期。

そして、ひばりさんは母親・二人の弟を次々と失う不幸に見舞われる事に、当時を振り返って和也氏は「十年程は毎年法事を行っていました」と話されていた。

又、和也氏が高校へ入ってすぐ、ひばりさんを病魔が襲った・・・・
１６才の和也氏は、それから母親・加藤和枝さんのそばに付き添うように・・・・・・

そして伝説となった東京ドーム「不死鳥・美空ひばり」が復帰公演となって行きます。

その後、父親・哲也氏の遺志を継ぐかたちで、歌手・美空ひばりのプロデューサーを行なっていく・・・・・・

番組映像の中には、御園座の木曽駒山荘で愛息・和也ちゃんを抱きしめ幸せそうな素顔のひばりさんも紹介されていた。

ひばりさんの御園座公演を訪ねて来ては、楽屋受付で飼っていた金魚に餌をやり過ぎ、係りの小父さんに怒られていた和也君が、立派な大人になっている。

この姿をひばりさんが見られたら・・・・・
小学校入学式にひばりさんと一緒に撮った写真を嬉しそうに私に見せてくれたひばりママが見たら・・・・・

平成元年　６月　２４日　世紀の大歌手　

美空ひばりさんは亡くなられた・・・・・・

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